新開地まちづくりNPO発行、新開地の魅力情報発信誌「アレッ!新開地」のVol.49、
「新開地 新・八景」に掲載いただきました!
持ち主の思いを受け継ぎ
止まった時を再び進める
ミクロの世界の職人仕事
店の奥に据えられた小さな作業台。ルーペを片目に、一見”点”のような細かい部分とじっと向き合う横島さんは、昭和一桁創業の老舗の3代目。時計周囲技能士の資格を持ち、戦地交換から完全分解しての洗浄、組立まで、日々様々な修理に対応している。地道な作業だが、「モノを直すのは楽しい。自分では天職だと思っています」と笑う表情は、いかにも楽しげだ。今や技術を持つ人が少なくなったこともあり、遠方からの修理依頼も多く、5〜6軒以上の店に断られてここに来たというお客も。それゆえ、「可能な限り”できません”とは言いたくないですし、何とかしてほしいと頼まれた直したくなります」と、お客の思いに職人気質の仕事ぶりで応じる。何十年と動いていなかったりすでに部品がなかったりといったことも少なくないが、全く動かなかった時計が動き出した瞬間の喜びは、職人冥利に尽きるという。「形見や遺品でも、やはり時計ですから、止まったままより動いている方がいい。その気持ちを大事にしたい」と横島さん。時計の針が再び進むことで、持ち主の思いもまた新たに受け継がれていく。